なも 係助詞《接続》種々の助詞や、形容詞語幹+「み」に付く。引用句・連用修飾語に付くことが多い。〔強意〕付いた語句を強調する。 出典万葉集 二八七七「何時(いつ)はなも恋ひずありとはあらねどもうたてこのころ恋し繁(しげ)しも」[訳] どんな時でも恋しく思わないでいることはないけれども、ますますこのごろは恋心がつのることだ。◆和歌にはほとんど用いられず、『万葉集』の用例は右記の例のみである。中古以降は「なむ」。上代語。 なも 終助詞《接続》活用語の未然形に付く。〔他に対する願望〕…てほしい。…てもらいたい。出典万葉集 一八「三輪山(みわやま)をしかも隠すか雲だにも心あらなも隠さふべしや」[訳] ⇒みわやまを…。◆上代語。 なも 助動詞 特殊型《接続》動詞型活用語の終止形、ラ変型活用語には連体形に付く。活用{○/○/なも/なも/○/○}〔現在推量〕…ているだろう。出典万葉集 三五五二「真人言(まひとごと)思ほすなもろわが思(も)ほのすも」[訳] 他人のうわさがうるさいとお思いになっているでしょうよ、私が思っているように。◆上代の東国方言。助動詞「らむ」に相当する。 なも 【南無・南謨】 名詞「なむ(南無)」に同じ。 |