はかばか-・し 形容詞 シク活用活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ} ①はきはきしている。てきぱきしている。有能だ。出典源氏物語 桐壺「『…とく参り給(たま)へ』など、はかばかしうも、のたまはせやらず」[訳] 「…早く参内なさい」などと、てきぱきと、終わりまでおっしゃれず。◇「はかばかしう」はウ音便。②しっかりしている。頼りになる。出典源氏物語 桐壺「とりたててはかばかしき後ろ見しなければ、事ある時は、なほよりどころなく心細げなり」[訳] 特別に取り上げて(いうほど)しっかりした後ろだてがないので、大事が起こったときは、やはり頼りとする所がなく、心細いようすである。③はっきりしている。際立っている。出典更級日記 足柄山「やうやう入り立つふもとのほどだに空のけしき、はかばかしくも見えず」[訳] しだいに足を踏み入れる山のふもとのあたりでさえ、空のようすははっきりとは見えない。④本格的だ。まともできちんとしている。出典宇治拾遺 一・一〇「『いかなる歌か詠みたる』と言はれければ、『はかばかしき候はず』とて」[訳] 「どんな歌を詠んだのか」とおっしゃったので、「本格的なものはありません」と言って。 |